01
「そういえばさ、相庭(あいば)って愛(あい)ちゃんと付き合い始めたんだって」
「はあ?」
おいおい、マジかよ。愛ってあの矢城(やしろ)さん?えっ、あの自分はたいして可愛くないくせに「私の友達ってみんなかわいいんだよぉ」とかぬかしてる性悪?確かにその友達はかわいいかもしれないけど、テメーがそうゆうやつしか友達に選んでないからじゃないんですか、っていうあの愛?
「最悪に趣味悪いね」
「ね」
こうやって簡単に同意できてしまうほど影で女子の間で評判の悪いやつと付き合うなんて、ホントどうゆうこと。
「てか、愛ちゃんって彼氏いなかったっけ?」
冬休み入るまではいた気がするんだけど。すっごい自慢げに写メ見せびらかしてるの教室の後ろから見た気がするんですけど。
「あー、いたね。うん。なんか写メ見せられたわ。私の趣味じゃなかったけ、どっと」
私はあいつの前の前の彼氏の写メを見せてもらったけど、茶髪の悪そうなタイプだった気がする。杏子(きょうこ)眼鏡好きだもんね。うちらみたいなちょい地味っ子はあいつの彼氏みたいなのは謙遜しがちだもんね。てか、それなら相庭あいつのタイプじゃないじゃん。
てゆーか、杏子、お前、午後ティーのパックゴミ箱に入ってないから。てか投げんなよ。液体飛んだらどうすんだよ。
「告ったの愛ちゃんからって聞いたけど。まぁ、相庭ってよくよく見ると顔良いしね。趣味は悪いみたいだけど。クラス変わったからすぐ別れることになっても平気だと思ったんじゃないの?」
「愛ちゃんがそう思ったってこと?」
「そうじゃないの?あの子さ、彼氏のサイクル早いじゃん。あっ、谷崎それ私のゴミ。ありがとー」
親切だな、谷崎くん。ああ、君ゴミ箱のすぐ前の席だもんね。そりゃ目の前にゴミがあったら気になるわな、うん。
それにしても、早くもヤツは彼氏と別れたのかよ。それにしてもなぜ相庭?もっと他にもいただろ、顔の良いヤツは。ほら、6組の岡本とかいうやつとかさぁ。ああ、あいつは同じクラスに彼女がいるんだっけか。
「ねぇ鈴、これってどうやって訳すの?」
「えっ、これ?知らない、私あたらないからやってないし」
「おいおい、何やってるんだよ。しょうがない。美也ちゃんに聞くか」
っておい。もうあの話題終わりかよ。
そりゃ、杏子にはたいして興味がない話題かもしれないけど、私には重要なことなんだよ。って知らねーよな。話してないもん。
はあ、どうして私は趣味の悪い相庭なんかが好きなんだろうか。
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