今から交わされる会話は藤村斎(ふじむらいつき)とその彼女、三浦里緒(みうらりお)とのホワイトデー前日の携帯電話でのやり取りである。

「里緒、ホワイトデー何が欲しい?」
『……普通そうゆうことって本人に聞かないんじゃない?』
「やっぱり?じゃあなんでもいいってことで……」
『うーん。でも欲しいものはあるかなぁ』
「いやいや。やっぱり俺が自分で用意するよ、うん。ほら、気持ちが大事だし」
『なによ。自分から言ったくせに。それで松井の誕生日時みたいに駄菓子の詰め合わせなんかよこさないでよ。』
「ななななんで!?」
『どもってるってことは図星ぃ〜?ちょっとそれ信じらんない』
「なっ、誰もそんなこと言ってないだろ」
『じゃあ、何くれるの?』
「そ、それは明日のお楽しみってことで……」
『別に誕生日てもクリスマスでもないんだから教えてくれたっていいじゃない』
「いや、楽しみがなくなるだろ」
『お返しに楽しみなんて期待してないわよ』
「じゃ、なんでもいいんだな」
『期待してるよ、斎クン』
「え?なにそれ?さっきと言ってたこと違うんですけど」
『ケチケチしないでよ。そうだ。この間できたっていうイタ飯屋にいきたいなぁ』
「いやいやいやいやいや。ああいうところは予約いるから無理だろ。あっ、ガ○ト行こうガ○ト』
『……じゃあ、ヴィ○ンの鞄が欲しい』
「お前財布がヴィ○ンだから諦めろ。あっ、お前プーさん好きだろ?そのヌイグルミやるよ」
『…………』
「…………」
『…………』
「……な、なんだよ別に安上がりにしようとか、そんなじゃないぞ!?」
『何も言ってないけど』
「いや、沈黙がそう訴えてる気がして」
『でも、実際お金ないんじゃないの?』
「……実は、この間スキーに行ったりなんやりで出費がかさみまして」
『……はあ』
「…………(ビクビク)」
『いいよ。ガ○トで』
「えっ?マジ?」
『うん。それに斎に期待しろって方が無理な話だし。チョコ自体もそんなに高いものじゃないしね』
「おおおおおぉぉぉっ!ありがとう!!」
『そのかわり、明日は文句言わずに私に付き合ってよ』
「もちろんです。明日と言わずに明後日の朝までご奉仕させていただきます」
『バーカ』
「ハハ。それじゃあ、明日な」
『うん。じゃあ明日ね』

 なんだかんだで当日二人は仲良くホワイトデーを送ったとさ。
 


ホワイトデェイ企画TOP